2017年11月度の定例会についてご報告いたします。
11月度定例会は、FAT、藤本江里子会員の企画として『FAT印刷の事業計画書を作ってみよう!』と題して、講演を行っていただきました。
講演ではまず仮想企業である「FAT印刷」の現状と事業計画書の概要や作成のポイントについてご紹介いただき、それを踏まえてFAT印刷の新規事業に関する事業計画についてワークを行いました。
今回はFAT印刷の社長の息子である副社長を中心にストーリーが展開していきました。立体印刷が可能な高機能プリンタを導入した新規事業立ち上げのために融資を受けるべく事業計画書の作成をしましたが…
事業計画書とは
講演では初めに、事業計画書の概要と作成のポイントが紹介されました。事業計画書とは、英語ではビジネスプランと訳され、現時点から数年間にわたり、毎年どのように事業を遂行し、その結果どのような成果が生み出されるかを示したものであり、作成の目的はアイデアの肉付けと具体化のためにおこなう内部向けの目的と、他者(主に銀行などの融資先)への説明となる外部向けの目的など、複数の目的を有するとの説明がありました。
事業計画書作成のポイントとして、下記の5つのポイントを紹介されました。
1.何のために作成するのかという目的を明確にする
2.誰にみせるのか?をイメージする
3.見せる相手が気にすることは何か?を考える
4.見せる相手がすきな書き方(あるいは作法)があるかを確認する
5.相手にとって何が魅力的か?その結果協力してくれるか?を考える
このような説明の後、副社長が作成したFAT印刷の事業計画書をもとにワークをおこないました。
ワーク1:副社長が作成した当初の事業計画書はどこがだめだったのか
副社長が作成した事業計画書では、銀行の融資担当者に「これでは融資できない」とあえなく断られてしまいました。当初の新規事業の内容は、立体印刷を用いたデザイン性の高い結婚式用の招待状や席次表などを手掛けるものでした。その事業計画書にどのような問題があるのか、どのようにしたらいいのかを、グループごとに分かれてワークをおこいました。議論の後に副社長役のFAT会員の方にインタビューをして、問題点と課題を探っていくワークは指摘点も多数用意されていて、大いに盛り上がりました。
その後ストーリーは進んでいき、融資を断られた副社長は中小企業診断士に相談し、事業計画書の作り直しにとりかかりました。その過程で副社長は業界では名の知れたオタクであり、幅広いオタク人脈を有することが発覚しました。その人脈により新規事業である立体印刷を用いた高度な印刷技術によって実現できる、品質の高い同人誌印刷には大きなニーズがあることを発見しました。そこでそのようなニーズや副社長の強みを生かした新規事業に光明を見出し、作り直した事業計画書を手に、ふたたび融資担当者のもとに出向くこととなりました…
ワーク2:同人誌印刷事業を追加した事業計画書について
作り直された事業計画書が、①当初の事業計画書との違い、②どこがどのように評価できる、③自分ならもっとこうする、という3つの観点からグループ内でワークをおこないました。先ほどのワークと同様に、議論の後に副社長役のFAT会員の方にインタビューをしてグループ内での意見をまとめ、発表していきました。ざっくりとしていた内容が具体的になった、ターゲットが明確化した、リスクが分散された、事業承継の観点があるのが評価できる、もっと熱い思いが伝わるようなことを書いてみては、などの意見が挙がりました。
まとめとして、診断士はあくまでお手伝いであり、経営者自身で事業計画書を作成できるように寄り添い、経営者に手を動かしてもらうのが大事であること、融資担当者は返済可能かどうかを気にしているので、資金繰りを数字で示すこと、必須項目や懸念事項、フォーマットなどは事前に融資担当者に確認すること、などのポイントの解説がありました。
そして、事業計画書を作り直した結果、見事に融資を獲得したFAT印刷。実は融資担当者も「こんな事業計画書を待っていた…」と涙を流すほどのオタクであったという衝撃的な展開と共に、副社長は新規事業を推進していくこととなりました。
時に笑いがおきるなど終始なごやかな雰囲気の中進行された発表も終了時には盛大な拍手に包まれました。次回予告「FAT印刷に、M&Aの話が…!?」とますます気になる展開に期待が寄せられるなか閉会を迎えました。