2021年7月度の定例会は、ビジネスモデルカフェの木下忠会員、小島慶亮会員による企画『ドラゴンからスイミーへ~中小企業の事業再構築に向けて~』を開催しました。今回もZoomによる開催でしたが、多くの会員に参加いただきました。
まず、木下 忠 会員より事業再構築補助金に対する概要の説明と採択結果の分析を紹介いただきました。
事業再構築補助金は「企業の思い切った事業再構築を支援する」ことを目的に総予算1兆1485億円の超大型補助金となっています。
採択結果は緊急事態宣言特別枠が55%、通常枠が30%の採択率となっています。業種別にみると、製造業 約5000件、製造業・小売業 約3000件、宿泊業飲食サービス業 約3000件、生活関連サービス娯楽業 約1000件となっています。
採択結果については採用された事例が公開されているので、申請する際の参考にできるだけでなく、採択された事例の分析を行うことが可能です。採択事業についてキーワード分析を行った結果が以下の図になります。
コロナの影響が分かりやすい“テイクアウト”よりも“自動車”の結果のほうが上位に来ることがわかります。これについては、製造業の申請が多かったことが要因ではないかと考えられます。
続いて、事業再構築補助制度の産みの親ともいえる、中小企業庁経営支援部長 村上敬亮 様にお越しいただき、事業再構築補助制度の導入の背景、及び、これまでの申請・採択動向について、ご解説いただく予定でしたが、残念ながら都合がつかず後日改めて開催いただく形となりました。
そこで、今回の定例会では村上様に向けた質問事項の洗い出しを行いました。本定例会では以下のような質問をしたいとの声が上がりました。(一部抜粋)
・突っ込んだ話でやる気のある経営者を鼓舞しようというのは、庁内公認されているものなのでしょうか。あるいは村上様の意欲的な挑戦だったのでしょうか。
・制度の趣旨、村上様が考える5年後の理想像と現実的な落としどころについて、ストレートにお聞かせください。
・経費区分など不明確な部分があると思います。もう少しガイドラインを明確に示されたほうがお互い効率的と思いますが、いかがでしょうか。
・申請要件に売上減少要件がある理由を教えてください。また、売上減少要件を弱める可能性はありますか。
・商工会と商工会議所の問題点と今後の期待についてお考えをお聞かせください。
・審査をする際の改善要望や問題点についてはいかがお考えでしょうか。
・テストマーケティング要件について、調査がどこまで必要でしょうか。
・テストマーケティング要件を緩める可能性はありますか。
・事業再構築補助金はいつまで続きそうですか。
・スイミー戦略のイメージについてお聞かせください。
・多角化することによるリスクの面についてどのようにお考えでしょうか。
・採択後のフォローについてどのようにお考えでしょうか。
・事業者の業種あるいは地域によっては市場データ量が少なく、不利な立場に置かれると考えられますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
・事業再構築補助金を構築した立場から、中小企業診断士に求めることはありますか。
・事業再構築補助金制度の問題点や課題について何かありますか。
・計画書の数字の妥当性についてどのように評価しているのか教えてください。
・中小企業応援士という施策についてお考えをお聞かせください。
また、事業再構築補助金に実際に関わった会員の体験を共有し、本補助金の現状に対する理解を深めました。
・わかりやすい資料を作成することや、企業の強みを伝えることが重要ではないかと思いました。会員間で申請の書き方について共有できる場が欲しいです。
・審査をした際の公平性の担保やフィードバックの場を設けることなどが欲しいです。
・申請企業が問い合わせることで採択理由を聞くことができましたが、審査員が事業特性を理解しているのか疑問に感じました。
・中小企業にとって計画を作成するという機会として良い制度であると感じています。
・審査項目の“既存事業とのシナジー”について、制度趣旨に矛盾を感じています。
・公的機関の相談をしているとものづくり補助金などより質問が多く、関心が高いことがうかがえました。
本日の定例会で生じた質問点については、後日村上様よりご回答いただける場を設けていただけるとのことです。
参考:8月スケジュール
8月17日(火) 19:30-21:30 8月度定例会
8月19日(木) 19:30-21:30 村上敬亮さん講演会(7月度定例会企画の再開催)