4月度定例会は、『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』と題し、木下忠会員、浅野俊太会員、地引智美会員、増渕健二会員よりご講演いただきました。昨今のコロナ情勢を鑑み、今回は初めてテレビカンファレンスサービスのZOOMを利用した定例会となりました。
前半は、佐宗邦威氏著『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』をもとに、「VISION思考」とは何かをご説明いただきました。
後半は、ZOOMの“小部屋”機能を活用したグループワークを行い、「VISION思考」について実践を通して理解を深めました。
■新しい発想法の必要性
ネット時代に生きる私たちは前提として“他人モード”で脳が占有されており、このことが自由な発想を阻害している。ワクワクや感動を通して、新しいことを発想するには“自分モード”を呼び起こすことが重要であるということを木下忠会員よりご説明いただきました。この“自分モード”で、ものごとを発想する手法が「VISION思考」と呼ばれるものであるとお話をいただきました。
■思考法の分類と「VISION思考」の位置付け
続いて増渕健二会員より、『直観と論理をつなぐ思考法(ダイヤモンド社)』の著者である佐宗邦威氏のプロフィールと、複数の思考法、その中での「VISION思考」の相対的な位置付けをご説明いただきました。
著者である佐宗邦威氏は、伝統的「デザイン思考」の専門課程を有するイリノイ工科大学デザイン学科で修士課程を修められた後、P&Gやジレット、ソニーでご活躍されていること。そして、現業の中で「デザイン思考」はどうしても課題解決からスタートするため“他人モード”の発想となり、自分らしさが失われてしまうことに弱点を見出されたこと。そして、この弱点を解消するために「VISON思考」を生み出されたとのご説明をいただきました。
また、「VISION思考」の特徴を複数の思考法と比較の中でお話しいただきました。
1. 「カイゼン思考」 PDCAの循環が可能だが、AI等の脅威に晒されやすい。VUCA時代には有効でない。
2. 「戦略思考」 目標達成に向けた選択と集中が可能だが、関係者が疲弊する。
3. 「デザイン思考」 デザイナー的思考(右脳の創造性を活用)による問題解決が可能だが、“他人モード”に陥りがちで自分らしさが失われる。
4. 「VISION思考」 自分への問いかけ(「妄想」)をきっかけに独自性の高いコンセプトを練り上げる。
つまり、「VISION思考」は、自分への問いかけ(「妄想」)がきっかけとなっているため必ずしも“他人モード”に陥ることなく、“自分モード”のままコンセプトを練り上げられるとのご説明をいただきました。
■どのように「VISION思考」するか
「VISION思考」には、“メソッド”と“スペース”が必要であり、スペースとは、「時間的な余白」と「頭に余白をつくること」であるとご説明いただきました。そして、「頭に余白をつくる」練習としてグループワークを行いました。
■グループワーク1
頭の中に余白をつくる(“自分モード”になる)練習として、4つの問いについてグループごとに自己紹介をかねて行いました。
① 子供の時代の夢は何でしたか?
② 青春時代に何/誰に憧れていましたか?
③ もし、3年間自由な時間ができたら、何をしたいですか?
④ もし、100億円手に入れられたら、何をしたいですか?
■グループワーク2・3
続いて、「新型肺炎に起因して経済封鎖等が進む一方、デジタル革命等を通じて予想された社会変革のスピードが一気に早まるはず」という仮定の下、ワーク2として、「1年後の世界を予想する」という問い、さらにワーク3として「これからの時代に最適化されたサービスを考える」という問いについて、“自分モード”のままブレーンストーミングを行い、発想を豊かにする体験を、木下忠会員のファシリテーションのもと行いました。
最終的には、全体会にてグループごとに選抜したサービスアイデアを1つずつ発表し、ZOOM機能を通じて投票いたしました。
■本会のまとめとして
「VISON思考」=自分モードとして考えること、日頃から妄想し余白をつくることの重要性をお話しいただきました。
最後、当研究会を主催する遠藤先生より昨今のコロナ禍に際し、「1年後には今回のグループワークでの討議にもあったようにビジネスが大きく変わるでしょう。診断士こそ、ピンチをチャンスにできる仕事だと思います。妄想を現実に変えるような積極的な活動を行っていきましょう。」との締めくくりのお言葉をいただきました。
以上