2015年10月度定例会の風景

2015年10月度の定例会についてご報告致します。

10月度の定例会は、事業承継研究会のリーダーである染谷会員の提案企画として、「明日を描く診断士の新常識! 民事信託を用いた戦略的事業承継」というテーマで開催されました。

本企画は、同研究メンバーであり、司法書士・中小企業診断士・MBAホルダーである鈴木会員が、講師となり講演が行われました。

冒頭に、鈴木会員より、「企画提案の趣旨」として、以下の話がありました。

・民事信託は、会社法制度にとても似ている。   →但し、条文が少なく、当事者の自由度が高い。
・自由度が高いため、細かいニーズに対応できる。 →但し、素人には活用が難しい。
・福祉・相続分野では専門家が豊富なので進んでいる。→しかし事業承継分野は専門家が不足し、遅れている。

民事信託も事業承継も、「何を、どの順番で、いつどのように」という観点が不足した枝葉末節な議論が多く、特に事業承継分野については、信託活用が遅れているとのこと。

そのような中で、「戦略的視点(※)」また「総合的視野」を持つ診断士こそ、将来を見据えた提案を行っていくために、「まず信託を学習する必要がある!」と話がありました。
※将来20年の変革シナリオの設計図

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その上で、以下の流れで、「信託」について、具体的な説明が進められました。

・承継支援において、なぜ信託を学ばなければならないのか?
・信託の機能をざっくり言えば?
・信託がなぜ始まったか?
・信託法と会社法の性質の違い・信託はどのような場面でメリットがあるか? 等々

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話のまとめとして、

<会社制度との類似点>
・信託は、権利を受ける主体と管理運営する主体を分けることで、権利者の能力不足等を補うことができる。
・元所有者と管理運営者から目的財産を隔離し、独立した債権債務関係となる。
・実行に伴う流通コストが、低廉。但し財産価値が実質的に移転する場合には、課税される。

<会社制度との相違点>
・契約内容の柔軟性、自由度が高い。
・パススルー課税(目的財産には課税されない)
・受益者の死亡により、予め指定された者に順次承継される「後継ぎ遺贈」の定めが可能

会社制度と非常に似ており、実はそれほど難しい制度でも万能の制度でもない。
要は、会社や組合といった多くの制度をどう選択し、また組み合わせるかである。

といったことから、総合的な視点を持ち、今後20年の戦略を定めていくことができる診断士が、信託についての理解を深め、絵を描いていくことが出来るようになってほしい、と鈴木会員の熱いメッセージで、会は締めくくられ、中小企業診断士として求められていることを意識することができた定例会となりました。

 

【今後の定例会日程】
11月度定例会 11月17日(火)19:00~21:00

テーマ名:企業再建・廃業における経営者保証ガイドラインの活用の可能性

➡詳細はこちら

 

12月度定例会 12月13日(日)午後(※)

※12月は、診断士2次筆記試験合格者対象の2015年度口述対策セミナーです。
※場所は、文京区シビックセンター4Fシルバーホールとなります。

➡詳細は後日改めて、ご案内致します。