コーチングで拡がる伴走支援コンサルの可能性を金岩由美子会員、川瀬朋子会員よりご講演を頂きました。金岩会員は昨年までキャノンITソリューションズに勤務されており、プロジェクトマネジメントを中心に活躍されていました。川瀬会員は2019年登録、本年より独立を予定されています。また、コーチングスクールを副業でやられています。お二人は伴走型コンサルタントの養成塾である伴走支援塾を昨年からスタートされています。
講演内容
川瀬さんからの講演です。
経営コンサルタントの理想像は以下の様に考えています。
- 支援先の経営を改善する確かなスキル
- 単発・短期よりも長期契約
- コミュニケーションスキル、人間的魅力
この理想の状態が叶ったら、以下の通り支援先の成長を見守れますし。コンサルをやっていてよかったというやりがいも生まれます。
しかしながらこんなお悩みはありませんか?
理想の状態に持って行くための必須スキルはどのような時にも使用されるベースのコミュニケーション能力が必要です。コーチングは必修科目でどの業界でも利用できる理想の懸け橋になります。
コーチングとは何かおさらいします。コーチはまずクライアントの話をじっくり、評価判断せずに聞くことで、相手の視野を広げ新たな発見や行動を起こす手助けをします。これにより最も大切な目的発見(何のために事業をやっているのか)をし、目標達成(どのような目標を設定するのか)、問題解決を行ってゆきます。
相手の中にある可能性を最大限引き出す、答えは相手の中にある、未来志向で考える、未来からバックキャストで考えるというように考えることが必要です。
コーチングを他のサービスとも比較してみましょう。コーチングは未来志向、引き出す技術です。コンサルティングは過去の課題を解決するために教える・伝えるという技術です。伴走型コンサルタントはコンサルXコーチングが最強です。
コーチングの基礎スキルは以下の通りです。信頼関係を築くスキル、相手の話を100%聞く傾聴スキルがベースで発問以下のスキルがあります。
本日のワークは信頼関係と傾聴の技術を行います。
金岩さんがここから講義されました。
今なぜ伴走型コンサルティングなのか?といわれるとまず、コーチングの市場規模です。コーチングの市場規模米国で1兆6000億円、日本で300億円。日本でも10年足らずで6倍になっています。1on1などのコーチングが身近に入ってきていることはご存じのとおりです。
米国とGDP比で換算すると日本では3000億円の潜在市場規模があり、米国では弁護士以上に重宝されています。
中小企業庁が「経営力再構築伴走支援ガイドライン」をR5年6月に公表しています。日本で伴走支援が求められる背景は経営環境の変化のスピードが上がったことや不可逆的になった状況により、環境変化に経営者が柔軟に対応・自走化することが必要というガイドラインが出ています。
従来型の支援と課題設定型支援の比較をしています。従来型は目先への課題対応が多くありました。課題設定型は支援者が経営者と対話と傾聴を重ね本質的な課題に気付き、腹落ちへと導くことで経営者が行動をおこすことに焦点をあてています。
中小企業庁が「経営力再構築伴走支援ガイドライン」をR5年6月に公表しています。支援者は経営者が課題解決型から、真の課題を発見し内発的動機付けから、能動的に行動する課題設定型へと導くことが伴走支援に求められています。
経営学で言うコーチングは「対話と傾聴」とほぼ同義語です。問いかけをどんどんしてゆくことで自分自身の気づきが生まれる。これをオートクラインと呼んでいます。自己決定感があり、答えは経営者自身(相手)の中にあるということです。
自己改革の壁を乗り越える支援として、自己変革への5つの壁のうち②向き合わない③実行できない④付いてこないに対応するのがコーチングの役割です。④については理念の策定・浸透なども大事になってきます。
川瀬さんからの講演です。
ここからは、傾聴のワークをペアで行います。ブレイクアウトルームに2名顔出しでペアを組みます。
ワークをする前に傾聴のおさらいをします。
傾聴は伴走支援の基本なので、伴走支援のすべてのプロセスおいて必須スキルです。特に①②③の初期段階において大きく効果を発揮します。
傾聴の3ステップは以下の通りです。
Step1 内的傾聴 相手と向き合っていても、自分に意識が向いている状況
Step2 集中的傾聴 聞き手の意識が相手へとむけられている。同じ方向を向いている状況
Step3 全方位傾聴 相手と心が通じ合う。場の雰囲気を感じ取る状況
先ずはSrep2を目指します。
次は、傾聴の基本スキルの中で大事にするものです。基本の表情や姿勢、うなずきなどのリアクション、ステイトは相手の心の温度よりもほんの少し暖かく、スピードは相手より心持ゆっくり話すことが大事です。こういったことができるとビューティフルステート状態になります。ビューティフルステートという言葉をぜひ覚えて帰ってください。また、相手の言語・非言語に全集中して100%聴くことが大切です。
ワークで実践します。残念な聞き方デモの動画をここでお見せします。メモを取りながら聞いてみてください。5分間で残念なデモに関して意見交換してください。
解説
- 声を出していない
- 目線を合わせない(メモを書いてる?)
- うなずくスピードがあっていない(せかされている)
- 笑顔が無い
などなど緊張していたりすると結構やりがちです。
傾聴のワークをペアワーク(言葉なし傾聴)で行います。3分間最近嬉しかったことを話し、聞き手は声を出さずにスマホで録画します。ワークの趣旨は非言語に集中するトレーニングです。ことばを封じられると全身で聴いていますよという態度を示さなければなりません。全身で表情・動き・リアクションでビューティフルステートを相手に伝えることのワークです。終わった後に自分の映像を見る時間を取ります。
ここからまとめです。非言語の傾聴を本日はやりましたが。傾聴の応用スキルとしては、相づち・バックトラッキング・要約があります。
傾聴の前提としての在り方としてカール・ロジャーズ、アドラー心理学をご紹介します。カール・ロジャーズはカウンセリングの神様といわれている人で、現代のカウンセリングの基礎を作った人です。中核三条件は相手のクライアントが心を開きやすい条件です。アドラー心理学では2つのことをお伝えしたいです。コンサル・経営者は上下関係になりがちですが、経営者とコンサルはヨコの関係であり共同作業をしてゆく関係です。また、常にコンサルは経営者の心のエネルギーを高めるために勇気づけをし続けることが必要です。
傾聴のスキルアップはいつでもどこでもトレーニングできます。部下や家族・Zoomなどでのトレーニングや買い物をするときにコンビニチャレンジと呼んでいるその場でコンビニの店員にステート・スピードを合わせてみるなどがあります。
傾聴は支援先に対して最も手軽に出来る「贈り物」です。
ここからは金岩さんからまとめです。
自分らしい伴走支援の形を見つけるためにどうしたらよいのか?が本日の講義です。コーチングのワークなどが中心になりましたがここでは伴走支援コンサルティングとして重要なものをお話します。MVV(Mission,Vision,Value)を自らまとめ言語化することが必要不可欠です。自分の価値観と経営者の価値観から一緒にやりたいということも生まれてきます。
カール・ロジャーズやアドラー心理学などで木の根のマインドセット、幹のMVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を作り信頼関係を築き上げることが必要です。そしてコーチングなどのスキルなど一式揃って伴走支援になります。
また、伴走支援塾が新しく4月から始まるのでご興味があれば参加ください。セミナーでも同様の内容説明を致します。
まとめ
コーチングが伴走支援の基本であることがよく理解できた素晴らしい講義でした。まずは身近から傾聴スキルを実践し、伴走支援につなげてゆきたいと思います。
金岩会員、川瀬会員、ありがとうございました!