活動報告:2024年6月度定例会

小島慶亮会員より、外部講師として実演販売士のジャンプ中澤様(中澤京子様)をご紹介いただきました。

ジャンプ中澤様は声優・ラジオパーソナリティからスタートされ、TVショッピングや講演などで活躍されています。少年ジャンプが大好きでジャンプと名付けられたそうです。

ジャンプ中澤様のHP https://nakazawakyoko.net/

ジャンプ中澤様の紹介ビデオの後、ジャンプ中澤様から「自分の魅力を3倍引き出す話し方2024 ついつい買いたくなる通販番組の落とし術」のご講演をいただきました。

講演内容

この講演では

  • 自分のタイプを知る
  • 相手に寄り添う
  • すぐに使えるテクニック

についてお話します。(軽妙なトークでのご講演でしたが、とても文章では表せないので、議事録風に内容を記しております)

まずは①自分のタイプを知るに関してです。

NLP(Neuro Linguistic Programming、神経言語プログラミング、脳と心の取扱説明書)では人は3タイプに分けられます。

脳をほぐすパズルをしてみましょう。

・2人で組んでお互いを見ずに質問・会話をしながらパズルを完成する(会場3分間)

・林家ペー・パー子の特徴を3つ挙げる(オンライン)

こういったエクササイズから自分の考え方の特性、捉え方の特性などわかります。

人は優位感覚別に3つのパターンに分かれます。

  • 視覚優位  目に見る情報からとらえる方
  • 聴覚優位  音やデータ、数字などでとらえる方
  • 身体感覚優位 身体感覚でとらえる方

視覚優位

視覚優位の方は、早口、身振り手振りが多い、人の目を見て話す、写真のように記憶する、交渉は景色の良いところで、Only1が好き、身なりがきちんとしている、結果が見えないとやる気が起きない、セコセコしている、椅子には上体を前に乗り出して座るなどの特徴がある。

視覚優位の方には見せてあげることが大事。例えばTV通販ではエアコンの吹き流しなどを見せるとよい。見えないものを見える化する。ビフォア・アフターの写真なども良い(腹部の例)。

聴覚優位

聴覚優位の方は、リズムが合う、色がうるさい、いい響きですね。聞き捨てならない、声色をよく覚えているなどの反応を示す。理論的で分かりやすい、耳を傾けて集中する、独り言が多い、雑音があると集中できない、交渉は静かなところで、No1が好きにはデータや評判を示すことが大事。NO1が大好き。声の調子や言葉に反応しやすい、傷つきやすい、自分のことを言ってもらうのが好き、話すときに耳や口に触れるなどの特徴があります。データ、評判が好きなので冠言葉の様に使われる累計○○万本突破などを提示すると良いです。

今の人は勝手にWeb上などでおススメされ、それを振り分ける。自分から情報を取りにいかない。関係ないものはスルーする傾向があります。d2001年wiki  2005年 食べログなどがスタートし、世の中の正解、高得点に触れることに慣れている世代です。間違いたくない。失敗したくない、損したくない世代です。ランキング記事、体験者の声が大事。

身体感覚優位

身体感覚優位の方は、危険な感じ、いい感じ、腑に落ちた、美味しい話、手応えありなどの言葉に表される。1つのことをじっくり味わうことが好き、じっくりと味わうことが好き、大物に見られやすい、声のトーンは低めで落ち着いている方が多い。集中の仕方は何かに触りながら話を聞く、情報が多いと処理できない、居心地の良さ重視、人との距離が近い、All in oneが好きなどの特徴があります。良いお客様が多いです。

身体感覚優位の方には触らせる体感、試食などが良い。

まとめると

  • 視覚優位   見た目  only1が好き
  • 聴覚優位   データ  No1が好き
  • 身体感覚優位  実感   All in 1が好き

となります。覚えておいてください。実演販売ではこれをすべて組み合わせてお話するといろいろな方に興味を持ってもらえます。

五感テスト(添付)をお渡ししますので自分でやってみて傾向を把握してみてください。

こういった3パターンの方々に対してのアプローチの方法は以下の通りです。

・視覚優位の人には,目で見て伝わる表現を選び相手に映像をイメージさせるように話すことがポイント

・聴覚優位の人には声のトーンを合わせて、理論的に話を展開するとスムーズに事が運ぶ

・身体感覚優位の方には、ゆったりと相手を心地よくさせる表現を使う。返答を焦らせない。

実際は、以前は視覚優位が7割、聴覚優位が2割、身体感覚優位の方が1割ほどでしたがが、コロナ後は身体優位の方が増えている印象です。

ここで言いたかったことは全ての人に100%伝わる技は無い!ということ。だが、できるだけ打率を挙げたいので、全感覚を意識してみようということです。これらの感覚を考えてお話すると表現力UP、より解像度が高い情報を伝えることができるようになります。

次に②相手に寄り添う、です。ここでは以下のラポールテクニックについてお話します。

ミラーリング 動きや姿勢

ペーシング  声のトーン・スピード

バックトラッキング オウム返し

これらに加えて笑顔とうなずきが大切です。

ここで、ラポールテクニックに関して2名で聞く人と話す人を決めてテクニックを使う場合と使わない場合のエクササイズをします。

このエクササイズから相手の話を聞かない、無視することで話が伝わらないことが良く分かります。ここから聞く姿勢が大切なことが良く分かります。うまい言葉が信頼関係に必要なわけではありません。聞く姿勢が大切なのです。

ギリシャの学者エピクテトスは「自然は人間に、舌1つと耳2つを与えた」と言っています。自分が話すその倍は、人の話を聞くようにと。

聞くは実は以下の通りに分かれます。

  • 聞く 耳から音が入ってくる
  • 聴く 傾聴
  • 訊く 質問をして話を深くして行く

です。普通に聞くだけでなく、傾聴し、いろいろなことを訊くことで話が伝わりいろいろなことが話せるようになります。

ここからは実演販売士の手法についてお話します。実演販売士は始めにはいとしか答えられない質問をして、たくさん「うん」を貰うことをします。これから紹介する機能や特徴に対して初めに「うん」を貰う。「うん」と言ってしまうと人は一貫性を保とうとします。

ここで、Open質問とClose質問についてお話しておきます。

Open質問は何かを考えてもらいたい。意見を変えたい場合に使います。

Close質問は意思を固めたい場合に使います。

この2つをうまく組み合わせて実演販売してゆきます。(Panasonic商品の実演ドラム式洗濯機を例として説明頂きました)

実演販売士は、まずはお客様の不安を先回りする。「○○」と思いますよね?と始めに不安として「うん」としか言わせないことを質問します。こういったことを探すのにAIを利用してお客様の買わない理由を探すこともします。AIはいろいろな買わない理由を挙げてくれるのでそれ克服する機能を説明すればお客様の不安を取り除くことができお客様が納得してくれます。

例えば、はっ水機能が洗濯機でよみがえるコースを「押し」にしたことがあります。愛着のある服を長く着たい。North Faceの服のはっ水機能がこの洗濯機でよみがえるなどです。

いろいろな質問をしながら、ということは○○ができた方がベストっていうことですよね?とclose質問をして意思を固めてもらうという使い方です。

でもなーとお客様が回答されたときに使える便利な切り返し言葉としては如何あります。

  • という事は
  • そうすると
  • だとしたら
  • そうは言っても

また、人によっては頑ななタイプ、保守的な方が見えます。こういった方に対しては、人は新しいものを否定するものだと考えますが、時代が変わる、今までもいろいろと変わってきましたよねと説明します。

お客様、思い出してください。洗濯機もこんな風に変わってきていますよと。こんな新しいものあるよという発信よりも、時代の仕方ない変化、信念に近いものは受け入れ易いのでそれを説明すると理解を頂ける場合が多いです。

心に響く3つの感

  • 共感 不安 不満 問題点 
    • あるあるという感じからYesをもらう
  • 実感 ↑矢印を解決してくれる機能 
    • ヘエー スゴイなと実感してもらう
  • 感動 起こる事 その先の夢 

時短 楽になりますよねというこんな未来が待ってるよと話す

これらを繰り返し抑えてゆくことが大切です。

次に、便利な言葉を使ってお話することを説明します。例えば「アイドルは辞めます!」「引退します」より「卒業します」。の方がファンの方から見れば受け入れやすいですよね。

そんな便利な言葉としては以下のようなものがあります。

  • 卒業
  • チャレンジ期間
  • バージョンアップ
  • 令和との出会い

次に③すぐに使えるテクニック集です。無条件に惹きつけられるワードとして「AなのにB」があります。

さっき店頭に並べたばかりなのに、もうなくなっちゃったんですよ。のような使い方です。

次にお客様が無条件に前のめりになる言葉です。MCとTV通販の話し方の違いをお話します。MCは内容を強調して話をしますが、TV通販では接続詞を強調して話します。

接続詞を強調することで今から大事なことを話すよという予告、相手に心の準備をしてもらうことに使います。こうすることで話の展開が分かりやすくスムーズになります。また、接続詞を強調すると瞬時に通販っぽい雰囲気が出せ、全体が締まります。

接続詞を使うことの事例です。とある大学でコピー機に長蛇の列の時に以下のどの言い方をすると順番を替わってもらえるかの実験をしています。皆さん、どの話し方が一番良いと思いますか?

結果は以下の%の方々が替わってくれたそうです。

A  60%

B  94%

C  93%

Cは内容の無いことを言っているのですが、これでもBと1%しか変わりません。

接続詞を使うとその内容にかかわらず、カチッサー効果(ある働きかけに追って深く考えずに行動してしまう心理現象)があることが分かります。

「実は」という言葉を聞いただけで続きを聞きたくなってしまいます。実際に販売が上がります。

まとめ

本日のまとめです。

質疑応答

Q:リアルとオンラインは違うか?

A:困ったことはあまりなかった。TV通販は一方的。オンラインでもTVの作り方でやっていた。オンライン展示会は難しい。距離と対象は重要。オンライン展示会では画面がMCだけを映すのではなくいろいろなところを映すので難しい。

Q:マシンガントークで実演販売はされていると思うがその技やコツなど教えてほしい。

A:一方的に説明するので、流れを止めない方が良いと思いこの手法でやっているが、人によって違う。私は七語調を多く使っている。心地よく聞いてもらう。難しい言葉を使わない。一番の理想は音を消しても伝わることをしたい。何が起きているか言ってなくてもイメージとしてわかってもらえることを多く入れて分かってもらう。熱弁した後、時間を取ったりして押し付け感を無くしたりする。その時の雰囲気を見ながら出したり引いたりしている。

Q:ラジオなど相手から見えない時のテクニックは?

A:ラジオでの販売のテクニックはお客さんに向けては説明しない。DJに向けて説明する。また、顔が見えないワークをしたりすると、人は敏感で分かってしまうので心を込めて話すことが必要。非言語では人は嘘はつけないと思っている。

講演の感想

ジャンプ中澤様から実演販売士としての手法・考え方やテクニックをお話し頂きました。実演販売士としてお客様に商品をお買い上げ頂くのに必要なトーク中には診断士として活用できるものが多くあると感じました。小島会員、中澤様大変ありがとうございました。

ジャンプ中澤様からいただいた利き五感タイプ分けテストを添付しております。ぜひご利用ください。