活動報告:2023年2月度定例会

 2023年2月度の定例会は『Web3.0入門 ~体験型ブロックチェーン学習~』と題して、ブロックチェーンの基礎を学び、Web3.0を理解するために、企画提案者の近藤将太郎会員からご講演頂きました。講演内容は以下の通りです。

第1章 60分で学ぶ!ブロックチェーン

  1. 何故、今、ブロックチェーンなのか

 2022年6月7日に政府が閣議決定した骨太の方針2022にWeb3.0の環境整備が明記されており、このWeb3.0を支える技術がブロックチェーンです。ブロックチェーンの仕組みはProof of workという仕組みを使っています。中小企業診断士として、活動していく上で、顧客からブロックチェーンについての問い合わせが増加すると考えられます。そのため、今回このテーマを選定されたそうです。

  1. ブロックチェーンとは

 ブロックチェーンとは不特定多数の参加者で合意を得て、記録するためのシステムで、①対等な参加者が、②改ざんできないように、③多数決を以て正当性を担保する、④台帳管理システムです。ブロックチェーンはビットコインと同じタイミングで出てきましたが、ビットコインにだけに使われている技術ではなく、NFTやETHEREUMなどにも使用されています。

  1. 仮想通貨の価値

 そもそもお金とは何でしょうか。お金=信用であり、多くの人が1万円には1万円分の価値があると信じ込んでいるだけで、相対的に常に変化します。また、お金には交換機能、価値保存機能、価値尺度機能があるといわれています。

 では、仮想通貨に価値があると信じてもらうには①偽装や改変ができない、②特定の思想に左右されない、③希少価値があるということが必要です。また、仮想通貨の価値が上がるためには④多くの人が使い、需要がある、⑤将来性が期待でき、投資的側面を持つことが必要です。そのためには府特性多数が使う状況で偽装できないようなシステムを作ることがポイントです。その実現にコンセンサスアルゴリズムが使用されています。

  1. マイニング

 コンセンサスアルゴリズムの説明の前に、マイニングについて説明の説明がありました。マイニングとはハッシュ値の先頭上位n桁が0になるようなナンス(Number used once)を探すことです。より早く適切なナンスを見つけた人には報酬(マイニング報酬)が与えられます。例として2023年2月7日に発見されたナンスはハッシュ値の0が19桁続くもので、マイニング報酬は約2,000万円でした。

  1. コンセンサスアルゴリズム

 非中央集権型のネットワーク(P2P)は①全員で何人いるかわからない、②全員が信用できるかわからない、③確実に通信できるかわからないことから、参加者の合意を得ることが難しいです。

 コンセンサスアルゴリズムとは多数決でトランザクション(取引)の正当性を決定するアルゴリズムで、①「1票」の基準は計算スピード(≒CPU、GPU)、②より早く適切なナンスを見つけた人に報酬、③そのブロックが正しいかどうかみんなで確認し合います。ビットコインでは、Proof of workというコンセンサスアルゴリズムを使用しており、改ざんの困難性が非常に高くなっています。

2章 みんなはノード。ブロックチェーン体験

 1章の講義のあと、実際にブロックチェーンを作る体験を行い、マイニング作業がどのようなものかを体験しました。

3章 おまけ(仮想通貨をつくってみた)

  近藤将太郎会員は学生時代に所属していた研究室でのみ使える仮想通貨を作ってみたそうです。クローズドな環境ではブロックチェーンを使う必要性に乏しく、ブロックチェーンの特性を知った上で適切なアーキテクチャの選定が必要とのことです。

まとめ

  ブロックチェーンが適切なシステムは①不特定多数が参加している、②参加者が信じられない、③公平性を担保したい、④特定の事業者だけに利益を享受させたくないシステムと言えます。そして、そのブロックチェーンは①P2Pネットワーク、②電子署名・ハッシュ関数、③コンセンサスアルゴリズムの3つの要素で成り立っています。コンセンサスアルゴリズムは多数決によって単一の結果を担保するセキュリティー、改ざん困難性がシステムといえます。ただ、最初にあった人事システムの構築をブロックチェーンでできないか、という問いに対して、どのように返答すればいいかわかるようになっていれば講演の目標は達成できたとのことでした。

 

講演の内容は以上となります。今回の講演ではブロックチェーンの基礎について、実際にマイニング作業の体験もしながら学ぶことができました。ブロックチェーンはセキュリティーの高く、改ざんの可能性の低い技術ですが、それをどのようなシステムに使うべきかのアドバイスができることが大切だとわかりました。近藤将太郎会員、ご講演ありがとうございました。