活動報告:2022年10月度定例会

 2022年10月度の定例会は、『独立4年目のリアル〜自走できるコンサルタントの条件とは?〜』と題し、講師は川原茂樹会員にご講演いただきました。Zoomによるオンライン開催で、今回も80人を超える多くの会員が参加し、大変盛況となりました。

 川原会員の自己紹介は以下の通りになります。

 発表については以下のアジェンダに沿って行なっていただきました。

1.独立の目的

 まず診断士としての独立にあたり目的を定めることを述べられました。

  • ① 自身のWhyを確かめることでWhyから自身のやりたい衝動を明らかにする
  • ② やりたいこと(自分軸・想いの強さ)を考えることで自身が無性にやりたいことや、自身がやっていて楽しいことを見つける
  • ③ 挙げたことに希望があるか(独立していけるか)を検討する

 独立にあたり①将来どうなりたいか?②そのために何をするか?③具体的にイメージしているか?を明確にすることの重要性を述べられました。

 また不安と希望のバランスを認識しておくことも重要であり、独立後の自身の最悪の状況に自分がどこまで納得できるか、どこまでの不安なら許容できるかをイメージして独立を検討すべきとのことでした。

 その後川原会員が実際に独立した経緯について会社での状況や独立診断士への憧れなどをお話いただきました。

テーマ:「現状の満足度と独立の目的・期待」

 これまでの話を受け、上記テーマにてブレークアウトルームで、参加者の現状についてディスカッションを行いました。その中で実際に独立を行なったメンバーや企業内のメンバーが仮に独立をするかなどの意見が出ました。

2.仕事の受注方法

 実際に独立を志向されている方が非常に興味のあるテーマである仕事の受注方法について川原会員の実際の事例を元にお話いただきました。

 川原会員の独立1年目は仕事も少なく、特集記事の執筆や先輩からの仕事の誘いや単発での仕事を数件こなされておりました。

 独立2年目でコロナ対策支援業務が激増されたそうです。

 実際の業務としては以下の業務などを行われた様です。

  • ① 窓口相談業務
  • ② 融資相談業務(手続きチェック係)
  • ③ コロナ相談業務(公的制度の案内)
  • ④ 補助金申請書の添削・アドバイス(商工会議所)小規模事業者持続化補助金

 上記業務を行う中で社長との面談練習の場となったことが大きいとのことでした。

 中小企業の社長は圧倒的な情報不足であることを痛感され、高度なアドバイスは不要でむしろ邪魔となると実感された様です。その経験からわかりやすくシンプルに相手に伝えることが大事とのことでした。

 実際に顧客となる経営者との出会いの場についてもご紹介いただきました。

  • ① マネジメントメンター登録制度
  • ② 中小起業家同友会
  • ③ 商工会議所・商工会

独立診断士の収益モデルについてご紹介いただきました。

  • ① 公的窓口業務

安定的に収入を確保できるが1日の拘束時間は長い。

  • ② 補助金系

申請支援は直接契約が獲得できるかが鍵。下請けでは中抜きが大きい。

  • ③ 講師

依頼を受けられるルートやコンテンツの保有が鍵。

  • ④ 顧問契約

専門分野の獲得や社長の話し相手となれるか。

テーマ:「仕事の受注方法」

 上記テーマにて実際に自身が独立すると仮定したらどのように考えるかブレイクアウトルームにて会員同士でディスカッションを行いました。

3.独立に向けて

 実際に川原会員が「独立4年目で思うこと」と題して以下の4点を挙げられました。

  • ① 自分軸を再確認

自身の棚卸しを行い自身の将来の方向性を具現化する。自身がどんなことができるかを認識し自身のやりたいことを言語化できるようにする。

  • ② 行動量が成果に繋がりやすい

お金を払ってでも人と会い、質問・対話を行う。まずは行動。やらずに悩むよりやってから悩む、まずは行動しそれでできなかったことを反省して次に生かす。

  • ③ 紹介を得るには1年前から行動がオススメ

信頼を得るには時間がかかるため独立にあたり事前の人脈・信頼の確保。

  • ④ お金の目安

会社員と違い出費も発生するため現在の年収の1.5倍は年収が見込めるか。自己投資の支出も勘案しておく。

テーマ:「独立に向けて考えておくこと」

上記内容にてブレイクアウトルームにて会員同士でディスカッションを行いました。

4.まとめ

 最後にまとめとして3点お話いただきました。

 一つ目は、あくまで自分自身のこれまでのバックグラウンドがメインとなり、診断士はトッピングだということです。診断士だから仕事が取れるのではなく、自分自身にお願いしたいと社長に言ってもらえるような関係性を作ることが大事とのことでした。

 二つ目は、中小企業診断士の知識を活用して自分自身の事業計画を策定することです。診断士の知識を活用すれば事業計画は策定することができるので、まず自分自身の棚卸しを行い、自分自身を主体に策定を行うことで、企業への事業計画策定にも役に立ちます。

 最後に、素直に聞いて自分で考えることです。今回の話でも度々川原会員からもお話にあった、まずは人の話を聞くことができることが自身の財産にもなり、また他者との関係性を構築することになり得ます。

 講演の内容は以上になります。今回は独立に主眼を置いた内容となっておりましたが、独立を志向していない会員にとっても参考になる内容となっておりました。特に自身の事業計画の策定を実際にやってみることは、自身の棚卸しも兼ねて独立の有無を問わず有効だと感じました。またグループワークを計3回行い、独立について他の会員との意見交換を行う貴重な場ともなりました。

川原様、どうもありがとうございました。