2022年6月度の定例会は、『中小企業診断士に求められるデジタルマーケティングとは?』と題し、企画提案者は相馬麻須美会員、講師はデジタルマーケティングラボ代表の松尾知明会員にご講演いただきました。Zoomによるオンライン開催で、今回も120人を超える多くの会員が参加し、大変盛況となりました。
松尾会員の自己紹介は以下の通りになります。
1.なぜデジタルマーケティングを身につけるべきなのか
まず概論として、なぜデジタルマーケティングを身につけるべきなのかを3点に分けてご説明いただきました。
①販売力向上が求められている。
企業が倒産する理由NO1は販売不振であり企業様の売上向上に資するためにマーケティング支援 が必要。
②インターネット広告需要の増加
2021年にマスコミ4媒体広告費よりインターネット広告費が上回り、デジタルマーケティングが急速に拡大しており今や広告の主流はネット広告となっている。
③デジタルマーケター不足
デジタルマーケターが不足しておりデジタル人材は売り手市場の昨今、デジタルマーケティング支援は診断士としてのドアノックツールとなり得る。デジタルマーケティングを起点に他サービスの領域へのコンサルティングへの展開も可能となる。
2.そもそもマーケティングとは
マーケティングとは売れる仕組みを作り営業を不要にすること。
売れる仕組みとは顧客の購入までのプロセスを認知→興味関心→比較検討→購入→拡散リピートの流れを構築する事です。各顧客の段階が進むにつれ最終的に購買にたどり着く顧客が絞られていきます。
顧客の段階を次の段階へ転換させるためにターゲットの状態を把握した上で極力離脱しないように以下の3つの施策展開が必要となる。
①認知の数を増やす
②離脱の原因を特定
③購入単価の向上
マーケティングとは自社努力で改善可能な変数を改善していくことでもあり、改善するために特に効果的なのは購入率である。なぜなら認知をされてもその後購入に繋がらないと認知活動が無駄になり、逆に購入率が上がれば広告効果も加速度的に増加していくからである。
3.デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとはデジタル技術が使われているかどうかで判断できます。
デジタルマーケティングの特徴メリット
①精度の高いターゲティングが可能
年齢・性別・居住地等の顧客層の特性に絞って配信を行うことが可能。
②お客様の行動データを入手しやすい
あらゆる行動データを得る仕組みが実装されている。
③効果検証結果を次の施策に活かしやすい
データの整理が容易かつ低コストで早急に修正が可能。
また媒体の活用が目的とならないように「誰に」「何を」「どう」という目的を設定することが大事という話は印象的でした。
トリプルメディアを企業の目的に合わせて「誰に」「何を」「どう」伝えるかを検討し、その上で手段(媒体・技術)を検討していく必要があります。
媒体を行うことが目的となっている事例は多くあると思われるので、まず目的と現状把握を行う重要性を改めて感じました。
4.SEO対策とは?具体的な実践方法
トリプルメディアの中、オウンドメディアに分類されるSEO(検索エンジン最適化)について焦点を当ててご説明いただきました。
SEO対策とは、リスティング広告の次に表示される自然検索の中で上位に表示されるために、自社HP・ブログにユーザーの検索意図に沿った良質なコンテンツを掲載し、自然検索から集客の増加を目指すことで売れる仕組みを作ること。
SEO対策の基本として以下の3点が重要であることをご説明いただきました。
①キーワードを意識
検索キーワード選定(市場・競合)が最も重要。
②コンテンツ内容の充実
ユーザビリティの向上がGoogleの評価につながる。
③サイトを育てる
長く運営する・アクセスを集めるなどのドメインパワーの成長が上位表示につながる
5.無料解析ツールのデモをみてみよう
無料解析ツールを活用して政策研のHPを実際に解析した結果を見ていきました。
ユーザー数、セッション数。デバイス、地域、チャネル、閲覧ページ、参照サイト等様々な尺度から政策研のHPを分析していきました。
6.デジマ系診断士:企業内診断士としての両立
最後に松尾会員が企業内診断士としてどのように本業と両立しているか、そしてどのように知識を身につけ、仕事を受けているかなどをご説明いただきました。
講演の内容は以上になります。中小企業診断士試験の中で学んだマーケティングに対し、実際の実務の話題を交え、総スライド150ページと非常に濃密な内容でした。デジタルマーケティング支援を行いたいがどうすれば良いのか分からなかった方が、本講演がきっかけとなり第一歩が踏み出せるような包括的かつ実践的な講演でした。また今回の議事録が政策研のSEO対策の一つであると身が引き締まる思いでした。
松尾様、どうもありがとうございました。