2017年8月度の定例会についてご報告いたします。
8月定例会は、中小企業政策研究会のビジネスモデルカフェの企画『ユニバーサルデザインワークショップ~「デザイン思考」で障がい者の「できる」を増やすワーク体験~』と題して、橋本大佑様(一般社団法人コ・イノベーション研究所 代表理事)に講演していただきました。また、日常的に「できないこと」「困っていること」を語っていただく障がい者ファシリテーターとして、車椅子ライフデザイナーの白倉栄一様、戸山土曜会代表の福田彰様、大野泰平様にご出席いただいたほか、提案者であるビジネスモデルカフェの武井会員、日景会員、木下会員にもご協力いただきました。
今回の定例会の目的は、以下の3つです。
・経済産業的視点、企業経営に資するアプローチで、障がい者支援の在り方を考えること
・障がい者の方々が直面する課題は十人十色であり、生の声に触れることで、課題を多面的に柔軟に考えること
・ユニバーサルデザインの考え方を学び、デザイン思考を用いて、障がい者をはじめ、さまざまな方々にとって価値のある商品、サービスづくりの手法を体験すること
講演ではまず、ユニバーサルデザインの知識を深めるための説明が行われました。2020年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて政府が策定した「ユニバーサルデザイン2020行動計画」は、「障がいのある人もない人も、支え手側と受け手側に分かれることなく共に支え合い、多様な個人の能力が発揮されている活力ある社会」(共生社会)を目指しています。また、価値の高いイノベーションは、多様性が高いほど起きやすいとされています。
こうした多様性を尊重し合いながら、コミュニケーションをとり、共に支え合う「心のバリアフリー」実現に向けて、重要になるのが「ユニバーサルデザイン」。難しく考えることはなく、「今までよりできる限り多くの人にとって利用しやすいデザイン」を生み出せれば、それはユニバーサルデザインになるとのことでした。
その後は、障がい者ファシリテーターを囲んだワークショップに。
最初のワークでは、私達が普段何気なく利用している道路の写真などを題材に、障がいを持つ方々から、現状困っていることのヒアリングを行いました。何気なく歩いている横断歩道の段差や街頭の障害物などが、私たちでは気づきにくい不便さにつながっている点を実感しました。
そんな中、アイデアを次々生み出している福田様からは、片手でも全身を洗えるタオルを考案するなど、日々の不便さを克服するための工夫の数々について、紹介していただきました。
次のワークでは、複数のグループに分かれ、ホテルの予約・利用時の課題や、自分に合う靴が見つからない悩みなど、白鳥様、福田様、大野様の個人的な困りごとをまずヒアリング。そして、それらを他のユーザーの課題としても「一般化」した上で、「バリュープロポーションマップ」を用いて、新規ビジネスモデルの策定にチャレンジしました。
各グループとも、普段は思いも付かないテーマで苦戦を強いられる一面もありましたが、ビジネスモデルカフェメンバーのサポートの下、短時間の間に興味深いビジネスモデルを次々とまとめ上げて発表へ。障がいを持つ皆様からもフィードバックを受け、会は好評のうちに幕を閉じました。
なお、会の冒頭では、この日が誕生日で、同日に開業届けも出した白倉様に武井会員から花束が贈呈され、会員一同、拍手で祝福いたしました。