10月度定例会は、井上会員の企画として『どうやってるの!?本業×家庭×診断士 三方良しの働き方改革』と題し、「企業内診断士」にとっての働き方改革のご紹介と、家庭を持ちながら企業内診断士として活躍されている倉石 友美様、相川 佳寛様、神宮司 大心様の3名をお招きし、座談会形式で企業内診断士としての実体験をお話しいただきました。
働き方改革の背景・内容
まず、働き方改革の背景とその内容について、三木会員よりご紹介いただきました。
働き方改革とは、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で「選択」することであるとご紹介いただきました。働き方改革が推進されている背景として、①労働人口の減少、②長時間労働の社会問題化、③働く人のニーズの多様化があり、生産性の向上や就業機会を拡大することが求められているとのことでした。
企業内診断士における働き方改革のメリットとして、①業務効率化による診断士活動への充当時間の増加、②勤務時間の柔軟化により診断士活動の時間の融通が利く、③副業解禁により収入が発生する活動への参加や積極的な営業行為が可能になる点をご紹介いただきました。その一方で、注意点として、①本業が疎かになることや健康を害すること等の時間・労力の管理面の懸念、②診断士活動への理解を会社や家庭から得ることが重要であるとのことでした。
「三方良し」の働き方改革に関するアンケート結果
企業内診断士向けに「診断士活動と会社」、「診断士活動と家庭」という2つの観点で実施したアンケート結果を廣瀬会員よりご紹介いただきました。
まず、「診断士活動と会社」に関するアンケート結果をご紹介いただきました。9割以上の診断士が資格取得を会社に対して報告していますが、会社として副業を認めているのは約半数とのことでした。また、会社に対して気を付けていることとして、本業優先に取り組むこと、早めのスケジュール調整、本業が疎かになっていると思われないようにすることを心掛けているとご紹介いただきました。診断士活動が本業に活かされた例として、人脈形成によるビジネス拡大や、講師業としてのプレゼンスキル向上等が挙げられました。
次に、「診断士活動と家庭」に関するアンケート結果をご紹介いただきました。パートナーから診断士活動への理解を得るために、将来の収入源確保、キャリアアップの準備、社外コミュニティの形成等を活動理由として説明しているとのことでした。また、家庭に対して気を付けていることとして、スケジュールを小まめに共有することや、活動内容を伝えて理解を促すことが挙げられました。診断士活動で得た収入の扱いとしては、診断士活動の活動費へ充当、家庭の収入に充当、自身の収入とするが家族での外食等で還元するというような様々な考え方をご紹介いただきました。
最後に、「会社」「家庭」「診断士活動」のバランスの取り方として、「本業重視派」、「バランス派」、「診断士活動積極派」、「冷静派」があり、自分にとっての「診断士活動」の位置付けによりそれぞれのバランスは異なるとお話しいただきました。
家庭持ち企業内診断士の座談会
後半は、倉石 友美様、相川 佳寛様、神宮司 大心様の3名による座談会が開催され、井上会員の司会のもと、事前に伺った質問や会場からの質問に回答する形で進行していきました。
倉石様は、診断士として複数社の顧問契約を持ち、補助金申請支援等の企業支援の活動を行っています。
相川様は、地域の農園との振興プロジェクトや、インバウンドや観光支援のプロジェクトを地域の商店街と実施されています。
神宮司様は、副業としての研修講師活動や、ご自身で立ち上げた新規の研究会の運営をされています。
普段の1日の過ごし方は?という質問に対しては、
倉石様「子供がまだ小さく、診断士活動に充てる時間がほとんどありませんが、育児をパートナーに時々お願いする等、パートナーの協力によって得られた隙間時間を活用しています。」
相川様「診断士活動は平日夜や有給休暇を活用して実施しています。休日は診断士活動、PTA活動、趣味の野球・フットサル、家族との団らん等それぞれバランスを取りながら過ごしています。」
神宮司様「平日夜は家族との団らんや診断士関係の作業をしています。休日は、土曜日日中は研究会活動や、自身の野球チームの活動ですが、土曜日夕方や日曜日は家族との外出等の家族と過ごす時間に充てています。」
との回答を頂きました。本業以外の時間を活用して診断士活動をしながら、主に休日に家族との時間、趣味等を楽しむ時間を取るというように過ごされていました。また、診断士活動を進めるうえで家族の協力は重要であるというお話を頂きました。
次に、三方良しのために工夫していることは?という質問に対しては、
倉石様「時間当たりの提供価値を高めることや、時間の使い方を工夫しています。具体的には、書籍やセミナー受講によるスキルアップや、睡眠時間をしっかり取って健康第一の生活を送るよう心掛けています。」
相川様「家庭に対しては土日の家族との交流やPTA活動を積極的に取り組むこと、会社においては業務を早く終わらせメリハリのある生活にすることや、普段の生活の中で体力を付ける運動(職場がある31階から階段を駆け降りる等)をすることを心掛けています。」
神宮司様「会社はお金を稼ぐ場所、家庭は家族と思いっきり遊ぶ場所、診断士活動は自身の成長の場、とそれぞれ考えています。診断士活動は本業で稼ぐための成長手段と考え、これらを自分が良いと思うバランスを付けて活動しています。」
との回答を頂きました。3つの要素に対してメリハリを付けて生活することに加えて、健康にも気を配って活動されていることが分かりました。
会場からは「家族から診断士活動をどの程度理解されているか?」、「診断士活動と本業のシナジーはあるか?」等のパネラーの皆様に対する多くの質問があり、それらに対して実体験をもとに回答していただき、有意義な座談会となりました。最後に、パネラーの皆様に向けての大きな拍手を持って座談会は閉会となりました。
以上